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ジョージ・A・ロメロ/ゾンビの世界

 


ジョージ・A・ロメロ/ゾンビの世界
『ゾンビ3』

『ゾンビ3』
(1979年/日本未公開)
イタリア 93分



監督アンドレア・ビアンキ 脚本ピエロ・レニョーリ 特殊メイク/ジノ・デ・ロッシ 音楽エルシオ・マンキューゾ バート・レクソン

出演カリン・ウェル ジャンルイジ・チリッチ シモーネ・マッティオリ アントネッラ・アンティノーリ

 古代エルトリア人の遺跡を調査している教授の暮らす屋敷を訪れた男女が、遺跡から蘇ったゾンビ達に襲撃され次から次へと惨殺されていく…。
 超駄目ゾンビ映画として有名な作品。邦題の『ゾンビ3』ももちろんロメロの作品とは関係ない。私もTVの深夜放送で初観賞したときは不快感を覚え、ひどいゾンビ映画だと感じたものだ。だが不思議と最後まで観てしまい記憶にも鮮烈に残ってしまった。そういうわけでずっと気になっていた作品で後にDVDで再観賞し、これもおもしろいゾンビ映画だったのだなと再認識した次第である。そもそも映画として成立していないような代物のゾンビ映画も多い中、最後まで観られてしまうゾンビ映画はそれだけでも立派なのだ!?
 内容はエロ・グロで、終始陰湿なトーンで物語が進み、爽快感のかけらもないまま後味の悪すぎるラストを迎える。なによりもエロ・グロが観たい、ゾンビが人をむごたらしく殺すのが観たい、不快な気分を味わいたいという人にはおチョーお勧めである(その点ではこの作品が一番かも)。
 それとは別に、これは私独自の視点かもしれないが、これだけ「闇の力」の勝利を高らかに謳った映画も珍しいように思った。ゾンビは、死の、黄泉の国の、闇の世界の住人である。そして、生の、現世の、光の世界にその勢力を侵食させるモンスターだ。『ゾンビ3』のゾンビは地下から現れその「闇の世界」の住人としての性格が強調される。そして人間を追い詰め、散々痛めつけ、1人残らず惨殺し、その圧倒的な「闇の世界」の力を見せ付ける。
 夜通し続いたゾンビの襲撃から散々逃げ惑った人々。そして夜が開けてからの、一片の希望もないまま迎える「闇の力」の完全な勝利を謳ったラスト。その展開が何か白昼夢を見ているというか、幻想的でほんとうに素晴らしいのだ。ここで私が語っているような意図など監督には毛頭なかっただろうが、ゾンビというキャラクターがほかの映画ではとうてい味わうことのできないこういった不思議な感覚を図らずも生じさせることがあり、それがまたゾンビ映画の隠れた魅力ともなっているのだ。


残酷性☆☆☆☆☆
終末観☆☆☆☆
サバイバル度☆☆
お色気☆☆



ゾンビ映画レビュー


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