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ジョージ・A・ロメロ/ゾンビの世界 |
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『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』 |
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『ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり』
(1985年/日本公開1987年3月)
アメリカ 85分
監督スチュアート・ゴードン 製作マイケル・エイベリー ブルース・ウィリアム・カーティス 製作総指揮ブライアン・ユズナ 原作H・P・ラヴクラフト 脚本スチュアート・ゴードン デニス・パオリ ウィリアム・J・ノリス 撮影マック・アールバーグ 音楽リチャード・バンド
出演ジェフリー・コムズ ブルース・アボット バーバラ・クランプトン ロバート・サンプソン
医学生ハーバート・ウェストは死体蘇生薬を開発する。彼は遺体安置所にもぐりこみ死体に薬を注入する。死者は見事に蘇ったが、そこに現れた学長を殺してしまう。ハーバートは学長にも蘇生薬を射ち、学長もまた蘇る。ハーバート・ウェストは秘密を知ったヒル教授も殺すが、ヒル教授も蘇生薬で蘇り、学長の娘を攫って毒牙にかけようとする…。
アングラ劇団の演出家かなにかをやっていたスチュアート・ゴードン初の劇場長編映画。DVDに収められたコメントによると、監督は、てっとりばやく儲かるからとホラーを題材に選び、全裸のバーバラ・クランプトンの股間に迫るゾンビの首という有名なシーンも観客に受けることが分かっていて撮ったそうだ。この志の低さとは裏腹に、全体的にスチュアート・ゴードンの演出は手堅く、要所要所は実にパワフルで、後の監督作にもみられるどこかとぼけたムードと相俟って、荒削りながらその力量と作家性を初監督作からいかんなく発揮している。やはり映画は演出力なのだ。
さて、この映画の一番の特色はやはり前述した全裸のバーバラ・クランプトンの股間に迫るゾンビの首といったエロ・グロ・ナンセンスな部分だろう。日本版のポスターにも使用された問題のシーンはエロ・グロの極致といったビィジュアルでこの映画のトーンを決定付けるものだ(エロゾンビ、ヒル教授は必見)。かといって本作のエロ・グロシーンが他の映画に比べて取り立ててすごいというわけでは決してない。ただナンセンスな要素も含めてその見せ方と映画の中における配分が実にたくみなのである。エロいだけグロいだけでは極上の娯楽には至らない。そこにも監督の力量が問われてくるのである。監督の次作『フロム・ビヨンド』もその点をきちんと踏まえていて見事なエロ・グロ・ナンセンス映画に仕上がっている。
エロ☆☆☆
残酷性☆☆☆
コメディ性☆☆
ゾンビビジュアル度☆☆☆
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