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ジョージ・A・ロメロ/ゾンビの世界

 


ジョージ・A・ロメロ/ゾンビの世界
エル・ゾンビ

『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒(エル・ゾンビ 落ち武者のえじき)』
(1971/日本未公開)
スペイン 84分

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監督アマンド・デ・オッソリオ 製作ホセ・アントニオ・ペレス・ギネール サルバドール・ロメロ 脚本アマンド・デ・オッソリオ 撮影パブロ・リポール 音楽アントン・ガルシア・アブリル
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出演: チェサー・バーナー ローン・フレミング ヘレン・ハープ ジョセフ・セルマン

 仲間と別れ古城で一夜を過ごそうとした女が墓場から蘇った亡霊に惨殺される。彼女を殺したのはかつて悪名を馳せたテンプル騎士団の亡霊(ブラインド・デッド)たちだった。死体は安置所に運ばれるが彼女はゾンビとなって蘇り人間を襲う。彼女のレズの親友などが謎を解明するために古城に向うが、彼女らもまた亡霊に襲われる…。
 80年代に『エル・ゾンビ/落ち武者のえじき』という邦題で出ていたビデオが入手困難となり、その他のシリーズも視聴が難しくホラー映画ファンの間ではずっと幻のカルト作として有名だったスペイン製のゾンビ映画。2006年にシリーズがBOX化されてやっと一般的に観賞する事が可能になった。
 私もずっと観ることができずネットの情報などを読み漁って妄想を膨らませていたのだが、ゾンビ映画というよりもどちらかというと亡霊物なのかなという先入観を持っていた。だが観賞してみてこれもゾンビ映画の範疇に入る作品なのだなと理解した。テンプル騎士団の亡霊(ブラインド・デッド)が人の肉に噛み付き殺し殺されたものもゾンビとなって蘇り人間を襲うという設定など、やはり「モダン・ゾンビ映画」の影響を受けているように思われる。
 ブラインド・デッドのキャラクター性が秀逸で、彼らは目が見えず耳で相手の居場所を探って襲ってくるのだがそれがモダン・ゾンビとはまた一味違うハラハラ感を生み出している。ブラインド・デッドが蘇ってくるシーンの「ため」や、おどろおどろしい音楽や、幻想的な映像なども雰囲気抜群。後味の悪いラストもいい。
 またブラインド・デッドのビィジュアルや逃げ惑う女を馬で追いかけるシーン(ここも幻想的)など『ロード・オブ・ザ・リング』に登場するナズグルそっくりで、ピーター・ジャクソンは本作からかなり影響を受けているように思われる。本作を観て感じたことだがシリーズを含め『エル・ゾンビ』が後のホラー、ファンタジー系の映画に与えた影響は小さくないように思われる。
 古き良き怪奇映画の体裁にゾンビ映画の要素を加え、そこにスペイン人の気質か本筋とは関係ない突飛な人間模様がブレンドされ、異国情緒も加味されて独特のムードを醸しだす本作が、ホラー映画の傑作の一本であることは間違いないだろう。


怪奇性☆☆☆
残酷性☆☆
ゾンビビジュアル度☆☆☆
終末観☆☆☆




ゾンビ映画レビュー


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