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映画コラム

 

スター・ウォーズ研究

スター・ウォーズ/メモリアル
スター・ウォーズ新三部作研究
「シスの復讐」ノベライズを読んで

北野武

スター・ウォーズ研究
スター・ウォーズ/メモリアル

 『スター・ウォーズ・エピソード3 シスの復讐』がまもなく公開される。1978年に日本で初公開されてから27年、壮大なはるか彼方の銀河系での御伽話はついに完結の時を迎える。
 思えば初めて劇場で見た(その前に東宝チャンピオン祭りとかでゴジラなんかを見ていたのかもしれないが)映画が『スター・ウォーズ』であったことを幸福に思う。
 たかが映画で、『スター・ウォーズ』が私の全てではないけれども、『スター・ウォーズ』があった人生となかった人生のことを考えると、あったいまの人生の方が確実に何倍も楽しいものであることは間違いない。
 最初の『スター・ウォーズ』を見たときの映画本編の記憶自体はほとんど残っていない。それよりも公開当時のお祭り騒ぎのような、なんともいえぬ雰囲気の方は強く印象に残っている あちこちに貼られたポスター。各種子供向け雑誌での特集。コーラーのビンの蓋の下から現れる映画のスチール…。全体が巨大なイベントかお祭りのような感覚につつまれていて、そのお祭りに自分も参加しているのだというそちらの印象の方が強い。
 そして当時メディアに頻繁に露出した映画のスチールにイマジネーションを強く刺激されたことも覚えている。とくに砂漠に並んでたつC-3POとR2-D2のイメージと、同じく砂漠の場面で巨大なトカゲ(デューバック)の上に乗っかったストーム・トルーパー(サンド・トルーパー)のイメージだ。その他にもキャラクターやメカに関しては、今までみたこともないなにか本当に不思議な強烈な魅力をそこに感じた。
 映画本編については小さかったこともあってほとんど覚えていない。覚えているのは最後のデス・スターの場面で、デス・スター表面の溝の中をもうスピードで飛ぶ戦闘機(Xウィング)の場面ぐらいだ。それでも、ただただおもしろかったという印象だけは強く残った。
 そんなこんなで『スター・ウォーズ』にはまり、その後も『帝国の逆襲』、『ジェダイの復讐』と劇場に足を運び続けた。
 こうやってふりかえると劇場で見た旧三部作についての当時の私の記憶はほとんど残っていない。一番強く残っている映像は帝国の逆襲でベイターに腕を切られたルークが、機械の腕をとりつけられるシーンだ。これは映画の内容をちゃんと覚えていられる年齢よりももっと前にスター・ウォーズを劇場で見ていたということと、その後テレビやビデオで繰り返しくりかえし見続け、そちらのほうの印象が強くなりすぎているせいもある。
 そう、その後も数え切れないほど『スター・ウォーズ』を私は見てきた。
 『スター・ウォーズ』がはじめてテレビで公開されたころ、日本でもビデオが家庭に普及してきた時代で、私も家にあったソニーのβで録画した。私がはっきりと、作品としての『スター・ウォーズ』と向き合ったのはこのころからだったと思う。
 テレビで放映された『スター・ウォーズ』を見て、そのおもしろさに度胆を抜かれた。あらためて映画そのものが持つ単純なおもしろさにノックアウトされた。その当時は本当にこの手の映画は少なくて、『スター・ウォーズ』という存在は圧倒的だった。
 その後も私はスター・ウォーズを見続けることになるのだが、『スター・ウォーズ』とともに始まった私の映画人生にあって、その後さまざまな映画を見ていくなかで、さすがの『スター・ウォーズ』も古臭く、子供じみて感じられるような時期もあった。それで少し『スター・ウォーズ』から離れていた時期(新作は公開されないし)もあった。それが再度『スター・ウォーズ』にはまるようにいなっていくのは、中学生になったころ、物語の背景にある深い意味を読み取れるような年頃になってきてからだった。
 ルーカスの構想した巨大な神話の体系、善と悪、父と子の物語…。その寓話的物語と圧倒的かつ緻密な世界観がはっきりと見えてきて感心し、『スター・ウォーズ』をただの映画としてみるのをやめ、さらに深くはまるようになっていった。そして悪役として圧倒的存在感を持ち、私も一番好きだったダース・ベイダーがこの物語全体の鍵、物語の真の主役であると気づいたとき、『スター・ウォーズ』の新シリーズにたいする私の期待は抑え切れないものになっていった。
 この壮大な物語を後六作も見ることができる…。
 古臭く感じていた特撮の面も、その後ひとつとして追い抜く映画は現れなかった。そして気づいた。これは単に技術の問題だけではなく、イマジネーションの問題なのだと。
 しかしなかなか新シリーズが始まる気配はない。私は知らなかったが、私よりももっと上の世代はいろいろ裏事情を知っていて、ルーカスはもう新シリーズどころか映画も撮らないのではないかと噂されていたそうだ。しかし私は新シリーズが再会されることを信じて疑わなかった。
 ルーカスがコメントしていた『スター・ウォーズ』は全9話の構想で、現シリーズはその中間三部作であるという話を胸に、ずっと待ち続けていた。
 特別編が作られると聞いたときは小躍りした。これも私よりも上の世代は、旧作に手を加えることにずいぶん抵抗があったようだが、私は素直に喜んだ。ルーカスの「自分のイマジネーションに当時のSFXが追いついていなかった。いまは自分の思い通りに修正できる。」といった発言は私が考えていたことと同じであり、古臭くなった特撮の修正や、新たな追加シーンが私には単純に嬉しかった。そしてその肝心のSFXの発展にも驚嘆した。
 この進化したSFX(いまはVFXか)で、ルーカスがおもいのままにスター・ウォーズの新シリーズを作る。私はとっくに大人になっていたが、ついに『スター・ウォーズ』の新シリーズをこの目にする日がやってくる。
 そして1999年の夏。ノストラダムスの恐怖の大王はやってこなかったけれども、『スター・ウォーズ』の新作はやってきた。ジャー・ジャー・ビンクスとともに…。

 『エピソード3』の公開をまちながら…。(2005/02/13)




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