ジョージ・A･ロメロ/ゾンビの世界
| ゾンビ〜バージョン違い |
| ゾンビ/サスペリア版 |
 ８０年１０月１６日に、東京１２チャンネル(現テレビ東京)の木曜洋画劇場で『ゾンビ』がTV初放映された際のバージョン。 このバージョンの一番の特徴は音楽が同じゴブリンでも『サスペリア』で使用された曲に変わっていることがあげられる（他にも『ローマ麻薬ルート大追跡（LA VIA DELLA DROGA）』の音楽も使用されているらしい）。効果音も独自のものが使われている（おそらくオリジナル音声は使用されていない。二ヶ国語放送でオリジナル音声は聴けたらしいが）。 基本は『ダリオ・アルジェント監修版』で、トリミングされた残虐シーンの一致などから「日本劇場初公開版」を素材にしていることが分かる。 CM抜きのトータルタイムは92分ほどで、カットされたシーンも多い。残酷シーンに関してはほぼカットか静止画処理。ゾンビを撃つ場面は残っているが、血や肉片が飛び散るようなものはカット。 内海賢二(ピーター)、石丸博也(ロジャー・死の淵にあるロジャーの哀願シーンは石丸節炸裂の名演技！)による吹き替え。全体的に意訳が目立ち、オリジナルとは全く反対の意味に吹き替えられている場面も多い。解説は深沢哲也氏。 『ゾンビ』のバージョン違いの中で間違いなく最も異色なバージョンである。 以下に主だったバージョン違いについて記す。  WGON-TV 冒頭に惑星爆発シーンの映像が挿入されている（初期ウルトラシリーズにおける変身シーンのようなイメージ）。 赤字の「ゾンビ 地球SOS 死者が甦った日」のタイトルが入る。 フォスター博士が惑星イオスから降り注ぐ怪光線について説明する。 「2週間前大爆発した惑星イオスの特殊光線が地球に作用して死者が蘇りつつあるといっているのです！」 プエルトリコ人が立てこもるアパート ウーリーの放つ弾丸によって住民の頭部が吹き飛ばされる場面がカット。 ウーリーが射殺されるシーンがない。ピーターもチラットしか映らず、ロジャーとピーターは地下室で出会うという展開に。 ミゲールゾンビの噛み付きシーンは静止画およびカット。 ヘリコプーターでの脱出〜ショッピングモールへの到着 ゾンビ狩り、飛行場でのゾンビとの死闘はばっさりカット。 飛行場のシークエンスの後のヘリコプター内の場面は残っている。だが本来ならピーターがスティーブンにいやみを言うところを、「4人で力を合わせてやれるだけやってみよう」と逆の意味の言葉に吹き替えられ、表情と全くあってない。 ショッピングモールの屋上で、スティーブンが「ゾンビは生きていたときの習慣でここに集まってくる」という重要なセリフを語るシーンがカット。 モール内への侵入〜ロジャーの死まで ゾンビの耳にドライバーを突き刺すシーンは静止画、血もなし。 クリシュナゾンビ襲撃後、妊娠しているフランについて語る場面で、ピーターがスティーブンに「堕ろし方を知ってるぜ」というところが、「大丈夫、どうにかなる。男が３人もついている」とここも逆の意味のセリフ、役回りに変えられている。 その後のフランとスティーブンの会話も違う。「私どうしても生みたい」「あなた堕ろしたいの？」「ああ」 ロジャー負傷後、ロジャーの手当て、ピーターとスティーブンの作戦会議のシーンがカット。CM後、いきなり銃器店の場面へ。 ショッピングモール制圧後、フランの悪阻のシーンからロジャーの死を描いたシーンに飛ぶ。その間の場面はまるまるカットされている。銀行でおどけるピーターとスティーブン、フランのスケート、ゲームをするロジャーなどの名場面もなく、「地獄が満員になると死者が地上を歩き始める」という超有名なセリフもなし。 フランの化粧シーンなし。 略奪者の襲撃 残酷シーンは前述したようにほぼカット。ナタを頭部に振り下ろされるゾンビも、首チョンパされるゾンビも、略奪者の内臓露出もなし。 ヘリコプターで脱出する際のピーターとフランの会話がオリジナルと全く違う。 「赤ん坊を育てる場所を見つけなきゃ」 「そうね」 「まかしとキィ」 オリジナル版の投げっぱなしのラストがTV放映向きではないと判断されたのか、途中のセリフやキャラクターの役回りの変更もこのラストのセリフに繋げるためのものであることが分かる。解説の深沢哲也氏もラストのセリフに作品のテーマが込められているなどというオリジナルを無視した無茶苦茶な解説をする。 上記はTV放送を録画したものだが、「サスペリア版」には他に赤字のタイトルが白字になり冒頭にカウントダウンが入るという放送用の素材から直接ダビングしたと思われるビデオも出回っている。  参考サイト バージョ違いの世界 |
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